2024年03月08日

正岡子規の漢詩「春晨」を読む。






こんにちは、あるいはこんばんは。
信州塩尻市・欅の森書道会、Web担当の宗風です。
こう、案外まだまだ3月に入ってからも雪があって、
春まだ遠からじの信州ですけれど、
そうですよねぇ、実際に「サクラサク」と言う名文句も、
お江戸、東京とは1か月ほどは違っていて、
卒業式に桜ではなくて、入学式…
もっと昔だと4月中旬が満開だったんじゃないでしょうか。
温暖化と言うヤツと思しきものがあって、
段々と早まっているのではないか…と言うところですが。

さて。
本日は、ちょっとだけ個人的な悩み相談に応じて頂きたい。
読んで頂きたいなぁ、と存じます。

現代と言うものは、スマホでもってインターネットの大海原を検索したらば、
たいていの事は分かる様になっております。
確定申告だって、スマホでe-taxでちょちょいの時代なんです。そうなんです。

そう思っていたのに、どうにも答えが出なくていけない。
そんな話題で、本日はお付き合いを願っておきますが…。




表題の通り。
俳人「正岡子規」、彼の作品は俳句だけではありません。
漢詩も残っておりまして。
日々、書道の根多として漢詩を探している中で、
日本の漢詩も知る様になりまして、そちらで出会った春の詩がございます。

「春晨」と言う題。「晨」は朝や夜明けを意味しますね。
何か参考になる文献に行き当たれば良かったのですが、
見つからずにおりまして、かろうじて書き下し文のみ。
こうしてお喋りするにあたり、
その書き下し文にあった違和感を個人的に直したりなんてしながら、
それこそ学びの世界と言うコトでございまして。
まずは一読、ご覧くださいませ。

「春晨」 正岡子規

春晨清如濯    春晨 清きこと 濯うが如く
晴日照自東    晴日 東を自ずから照らす

爨炊煙細細    爨炊 煙 細細として (爨炊=さんすい、ご飯を炊くこと)
出窓散薇風    窓を出でて 薇、風に散ず(薇=ぜんまい)

黄鳥鳴古木    黄鳥 古木に鳴く(黄鳥=コウライウグイス)
飛入荊棘叢    飛びて荊棘の叢に入る(荊棘=けいきょく、いばら、またそれらが生えた道)、叢=くさむら

淡雲翳残月    残月、淡雲に翳り(淡雲=うすくたなびく雲、翳=かげ、かげる、かざす)
影落空庭中    影は落つ 空庭の中(空庭=人のいない庭)

萬物得自然    萬物、自然に得る
吾生明日終    吾が生、明日終らん

苟不為利縛    苟も利の為に縛られずんば (縛られなければ)
便能與天通    便ち能く天と通ぜん (便ち=すなわち、すぐに、能く=よく、十分に)

在世豈不勤    世に在りて豈に勤めざらんや (豈=あに、どうして)(勤めようとしないのか、勤めるだろう)
読書味無窮    書を読み、味窮り無し (窮り=きわまり)


春の夜明けは、なんて清々しいのだろう
よく晴れて、太陽が東方を光で包む

飯炊きの湯気は細々と上がっている
風に揺れ、ぜんまいが風に散って行く

ウグイスは古木で囀り、
後、飛んで茨の叢へ入って行った。

残月に薄く雲がかかり、
誰もいない庭に影が落ちていた。

どんなものも自然と迎えるのだ。
私の人生は、明日にはもう終わってしまうかも知れない。

筍も、商いの為に縛られたりしなければ、
瞬く間に育って、天をつく程の背丈になっただろうに。
この世に生を受け、どうして“らしく”生きられないのか。
書を読み耽りながら食べてみるが、ホント旨いな。これ。



…と言う様に訳してみたものの。
これで良いのか、どうなんだろう…と言う相談をお願いしたいのです。

特に最後の一文、それまでの流れ。
春の景色が浮かびます。昼、夜と。
そうして自分の命が終わる様な…一言で表すならば、
絶望の言葉に感じる部分があった上で、
それこそ生の無情を嘆くような中で、
最後の最後に、味限り無しと言う事は、
成長できずに刈り取られるタケノコ君を成長前に食べたと言うことでは?
この詩の答えは何処にあるのでしょうか…。
通りすがりの細君に聞いてみますと、「書の味わいが増すと言う事では?」とのこと。
いやしかし、そうなると筍が利のために縛られることと繋がらないのでは…?
ともあれ、どちらも個人的な解釈ですので。むしろ、正解がお分かりになりましたら、是非ご教示くださいませ。

こうして向き合うとどこか春が待ち遠しいような気持ちに花が咲くように感じます。
もし良ければ、これも揮毫なさってみても良いかも知れません。

正岡子規の漢詩のご案内でした。

本日は簡単に、ここまでとさせて頂きます。

次回、欅の森書道会は3月11日、競書の締め切り日でありまして、
次いで25日、書象展の締め切り前の最後の1回となります。
どうぞ皆様、書の道に励まれますよう、ご健勝をお祈りしつつ。
それではまた。

ありがとうございました。

ありがとうございました。  

Posted by 欅の森書道会 at 21:30Comments(0)言葉の解説

2024年02月27日

「走跳而投」とユメックスアリーナ。






こんにちは、あるいはこんばんは。
信州塩尻市・欅の森書道会、Web担当の宗風です。
今年2回目の多めの雪、
皆さまご無事で過ごしていらっしゃいますでしょうか。
1回目の雪よりは少しだけサラッとしていたでしょうか。
でもカミユキはカミユキ、重い雪でした。
翌日にはすっかり溶けてしまいました。
今年はそんな雪模様で春を待ち遠しく過ごしている…
…なんて所でございますね。

さて、本日はその雪とも少し関係のある内容でして。
その当時、欅の森書道会の黒板に新聞記事も掲載されておりましたが、
我らが関澤劔山さんの書を塩尻の町の中で見掛けた話であります。

この雪模様において、
日頃、信州スカイパークを歩いたり走ったりしている私としては、
「あ、外に出れないぞ」となる訳ですが、
それならそれで、健康のための運動にやりようはあるってところでして。

塩尻市内の屋内運動が出来る場所と言えば、
ヘルスパ塩尻、SAM、最近できたエニタイムフィットネスなど。
それともうひとつ、これも新設のユメックスアリーナ。
塩尻市の新体育館として新興住宅地近くに建てられました。
2021年、この施設開館に際しまして、
上條信山先生の「鳳飛」、関澤劔山さんの「走跳而投」が贈られ、
2024年の今も利用者の目に入る所に飾られております。

今回、ジム利用を目的として、
初めて立ち寄ったユメックスアリーナ、
スタジオやトレーニングルームに向かう時には必ずや「走跳而投」の前を通ります。
見る度に何度でも思います。とても素敵な作品です。

「走れ、跳べ、しこうして、投げ」は、
陸上競技の基本原理を示したもので、
おそらく原文は「Run Jump and Throw」と言う事なのだと思います。

英語の文法上では、「〇と〇と〇」を「〇, 〇 and 〇」とします。
「〇 and 〇 and 〇」とはしない。
数が増えれば、「〇, 〇, 〇, 〇 and 〇」となります。
「and」は「と」と訳すよりも正に「しこうして」、
「そして、それに加えて」などのニュアンスが入ります。

検索してみると、学術書の表紙になっていたり、Tシャツになっていたり。
全ての競技は、この中のどれかに入っているのではないでしょうか。
逆に、この中に入らない「ブレイキン」、ブレイクダンスも跳んではいますけれど、
跳ぶが目的ではない競技なので、それこそ新しい文化なのだと感じられますね。

こうしたスポーツに関わる場所、
どうでしょうか、イメージとして「頑張れ!負けるな!」的な、
そうした書があるんじゃなかろうか、と思ってしまいます。
直接訴えかけるような、
そう、まるでポスターの標語にあったりしそうな、そんな感じの。

私はそれよりも「走跳而投」の方が良いと感じました。
自分の今日の頑張りを、その理想をよりイメージできる、と言いますか…
スポーツジムでは「走れ」はあれど、
「跳べ」と「投げ」はなかなかできません。
そう言うことではなく、
揮毫された書の躍動感にも力を貰って、
自分の今日の目標、頑張りたい部分が浮かんで来ます。
リズム感と言いますか…
「走れ、跳べ、しこうして、投げ」
それぞれの競技で励む選手を思い浮かべながら、
トレーニングマシンで自分の活動を重ねて思い浮かべて、
心にやる気を満たして行く感じ。

ユメックスアリーナ、ジムの1時間利用が250円と格安で、
まだまだピカピカの新品に近い状態で、
使っていてもかなり良い印象です。
初回講習を予約して受ける制度があるので、
そこだけちょっと注意点が必要ですけれども。

本日は、そんな書とスポーツ、
塩尻市の一席にてお付き合いを頂きました。

次回、欅の森書道会は3月11日となっております。
競書の提出日であり、書象展への作品において、
次の3月25日が締め切りですから、
最後の添削となる訳でして、
重要な回になるのではないでしょうか。

皆様、是非お互いに励みまして、お集まり下さいませ。

以上、宗風でした。

ありがとうございました。

ありがとうございました。
  

Posted by 欅の森書道会 at 19:30Comments(0)教室の風景

2024年02月20日

2月19日は教室の日でした&歴乱李花香について






こんにちは、あるいはこんばんは。
塩尻市、欅の森書道会、Web担当宗風と申します。
昨晩はお疲れさまでした。
競書の締め切り日直近と言う事で、スクランブルが掛かっていましたね。
2月号の競書の添削だけ、とにかく最優先。
3月号の課題や書象展の添削は、一旦は置いておいて…と言った感じ。
普段と違う賑やかさが後半の中ではありましたが、
前半の皆さんはいかがでしたでしょうか。

次回の教室は11日、25日となっております。
11日が3月号の競書の提出日、25日が書象展の作品締切日です。
ご留意のほど、願っておきます。

さて、おめでたいご報告をひとつさせて頂きます。
ゆくゆく書象誌にも掲載されることと存じますが、
欅の森書道会の仲間から、樋口玄山先生の社中として、
雅号を戴く方があります。
小澤さんですが、「幽篁」と名付けて頂いたそうです。
「ユウコウ」とお読み致します。王維の漢詩「竹里館」の一節から、とのこと。
お慶び申し上げます。是非、今後とも茶の道と並んで書の道も、
励まれること、大いにご期待しております。





では、毎度恒例としておりますが、
競書の課題の中から、その題材となった漢詩について、
「歴乱李花香」の句の前後、全体の詩の世界観、お知らせ致します。
作品制作の参考になれば幸いです。

こちら「歴乱李花香」は、
「春思」、正しくは「春思二首 其一」と言い、「賈至(かし)」の作品です。
盛唐の詩人で、洛陽(河南省)の人とされます。生没は、718年から772年です。

全文は、こちらの様に。

草色靑靑柳色黃
桃花歷亂李花香
東風不爲吹愁去
春日偏能惹恨長

七言絶句です。旧字を現代の字に直しますと…。

草色青青柳色黄
桃花歴乱李花香
東風不為吹愁去
春日偏能惹恨長


…となります。
5文字の課題として登場しておりますが、
先に「桃花」が付き、書き下し文をご覧になって頂ければ、
より一層、ご理解に達すると存じます。


草色、青青(せいせい)として、柳色(りゅうしょく)黄なり

桃花、歴乱として、李花(りか)香し

東風、為に愁いを吹き去らず

春日、偏(ひと)えに能(よ)く恨みを惹いて長し


…以上です。

草の色は青々とし、柳の新芽は黄色く色づいている。
桃の花はいっぱいに咲き乱れ、スモモの花は香る。
春風は、私の為に愁いを吹き去ってはくれなかった。
うららかな春の日は、
あいにくと悩ましい気持ちを起こさせて尽きることがない。

…と言う意味になります。

前半は春の彩、華やかな世界。
後半は「それなのに」と言う、けして笑顔を想像できない感じ。
けれど、昔から例えばそれが女性ならば、
悩ましい顔は色気があるとも申しますし、
何となく女性の心情を綴っているような…そんな気がしています。
春、花のイメージがそうさせるのか、どうでしょう。

眼前の世界はそんなにも春色、明るい希望に満ち溢れているのに、
耐え忍ぶ冬からの対比もあります。明るさの表現を打ち消すような、
そんな春景色でも晴れない悩みとは…?

いくつかこの漢詩の解説文を漁ってみますと、
やはり人がそれほどに思い悩むもの…と言えば、色恋のお噂ではないだろうか、と。
落語の世界なんぞでは、
男の狂うものとして「三道楽煩悩(さんどらぼんのう)」、
飲む、打つ、買う…とありますが、
こう言った内容のお悩みでは歌の世界観にあまりに合わないですよね。

世界が春めいて「ウフフ、アハハ」なところに、
思いつめたような、気晴らしに外に出てみれば…なのに、なのに。だけれども。
ちょうどNHKの大河ドラマも源氏物語が題材になっておりますが、
やっぱり恋の詩なのかなぁ、と思ったりなんぞ致します。

「寝てもさめても忘れぬ君を 焦がれ死なぬは異なものよ」

…と小歌に名文句としてありますが。
唐代の時代もそうした所は現代と変わりがないってンで。

ところで「乱」の旧字の「亂」ですが、
つまびらかに書きますと、
ノ、ツ、マ、冂、ム、ヌが左側になっている様です。
これは日本語のフォントの採用事例。
昨晩、玄山先生から教えて頂いた構成は、

「ノ、ツ、▽、冂、△、廾」でしたね。
今回の課題はこちらで参りたいと存じます。

また「香」も普段見ない形。「薫」とも「馨」とも異なります。
こちらの差については、先にブログにしたためてございますので、
ご参考になれば幸いです。

…と、そんなところで本日のブログ、以上であります。
春の便りがもうそろそろ…と言う所で、
何より先に、花粉飛散の状況が報じられて悲惨な心持ちになったりも致します。
三寒四温で、まだ寒いもあると予報されておりますが、
至る所で春を見つけられることでしょう。
どうか、体調に皆さまお気をつけて頂きまして、
書の道、励んで行きましょう。

それではここまで。

ありがとうございました。

ありがとうございました。  

Posted by 欅の森書道会 at 19:36Comments(0)教室の予定教室の風景言葉の解説

2024年02月17日

香と薫と馨について。

「香、薫、馨」について。



競書誌「書象」2024年3月号の条幅の課題にあった「香」の形が普段と異なる事から来歴を調べてみると、この匂いに関わる3字、それぞれ別の意味だと言うことを知りました。
ひとえに「書道」、その学びと言っても書法のみにあらず。
何気無く使っている言葉への学びもある訳でして。

…とメモ書きに筆ペンで半紙に書いてみて。
何かご参考になればと思い、投稿してみます。

今月号のを「香」の形、語源を辿ると納得ですよね。
  

Posted by 欅の森書道会 at 18:43Comments(0)言葉の解説

2024年02月16日

競書誌、3月号、届いております!

ご連絡遅くなりましてすみません。

競書誌「書象」2024年3月号、届いております!

19日のお稽古日まで時間があまりありませんが、

どうぞ皆様、自分もですけれど、励んで取り組みましょう!

ご連絡のみですが。  

Posted by 欅の森書道会 at 12:00Comments(0)

2024年02月05日

【緊急連絡】大雪のため、書道教室、中止です。

こんにちは、あるいはこんばんは。
雪が多く降っており、たいへんな状況になりそうな信州です。

本日5日、書道教室の予定でしたが、中止のお知らせを致します。
次回は19日の予定で変更なし。
添削などを必要とされる方は、先生のご自宅まで返信用封筒を入れて郵送くださいませ。

樋口玄山先生、下道で諏訪までは来て下さったそうです。
しかしながら降雪量も増え、通行止めにもなり引き返すとのこと。
ご苦労をお掛けしてしまい、また帰りの道も心配ですが、有難いことです。

皆様もどうかお気をつけて、続報あれば書き足します。

以上、取り急ぎ。宗風でした。

追記です。競書誌「書象」2024年2月号の課題、その締め切りと提出方法について。

書象会全体の2月の競書作品の締め切りは、
書象会本部に20日必着です。

今回の件を受けて、
次回書道教室開催の19日、
夜8時30分迄にヤマト運輸に持ち込む必要が発生しました。
8時には全員分が揃うよう、
7時頃までには、教室を訪れて提出する様にお願い致します。
  

Posted by 欅の森書道会 at 12:39Comments(0)教室の予定

2024年01月29日

「南樓望」、「書象」2月号の「研究」課題の詩について。






こんにちは、あるいはこんばんは。
信州塩尻市・欅の森書道会でございます。
もういよいよ今年もあと11か月となろうかと言う。
あっという間の1月が過ぎる時分でございます。
大寒もあって冬らしい日々を元気に健康にお過ごしでございましょうか。
本日も、お馴染みのWeb担当宗風がお喋りさせて頂きます。
冒頭の写真は週末に賑わった松本の氷彫フェスティバルの中から千歳橋の氷彫です。
さぁ、どうぞ最後までお付き合いの程を願っておきますが…。




さて。書象会の新年会もあったであろう週末でしたね。
すみません、私はお出掛けしなかったので「あろう」なんて言う所なのですが、
ご参加された皆様、いかがでしたでしょうか。
Instagramでの書象会関係で拝見させて頂いている方は、
授号式に参加されたそうで、たいへんおめでたいところでした。
ご参加の皆様、このブログ上でも寄稿して頂けましたら、バンバンと掲載致しますので、
よろしくお願いしたいと思います。どうぞ、是非ともどうぞ。

書道教室としましては、
来週の5日が2月最初の書道教室となっておりまして、
かつ競書の締切日と相成ってございます。
あと1週間、課題に励んで頂きまして、作品をお持ち下さいませ。




本日は、そんな課題に取り組む際にもお役に立てば幸いですが、
漢詩のご紹介、このご用意がございます。
先達て、「基本」課題については申し上げましたが、
今号においては「研究」にも漢詩が選ばれておりました。
これは調べてみますと盧僎(ろせん)の「南樓望」と言う詩の前半部である様です。

その全文はこちら。

去國三巴遠
登樓萬里春
傷心江上客
不是故郷人

課題では旧字ではなく、国、楼、万が現代の字で書かれていますね。
書き下し文では以下の通り。

国を去って三巴遠く
楼に登れば 万里春なり
心、傷ましむ 江上の客
是、故郷の人ならず

…と言ったところ。この前半が課題となっておりますな。

国とは都である長安、または故郷を意味するとあります。
都(故郷)を離れ、三巴遠く…とは。

後漢の時代の「巴、巴東、巴西」と3つの地域を指しますので、
その離れた土地に置いて在りと言う事ですね。

続いて楼、楼閣に登れば、見渡す限り万里まで春景色である、と。
江上の客、川辺を行きかう客…旅人を見、心が痛むと言います。
江上の客を長安から訪れた自分として見る見解もあるそうですが、
続いて「この土地の人ではないのだ」が末の句、それに心が痛む…と。

こんなに良い景色、春景色の中で、
自分自身の去就を憂うように、この土地の人でないのに…とする説、
旅人たちは春の中を旅して、次の土地へと出掛けて行く、
この素晴らしい景色が地元ではない事に心が痛む…とする説。

双方の見解があるのだとか。

禅語などの解説本を読んでいると、
まさに宗教色、理念が絡むため、元は同じであっても、
解釈が宗派ごとに異なっていて、
ひとつの禅語においても解釈が複数ある場合もありますね。
是非、ご自身の目、また心で漢詩と向き合って頂きまして、
答えを探って頂けましたら幸いです。
どちらがより、読み手の心情に近いか…なども含めて。

さて、本日はここまで。
以上でございます。
それではまた来週、欅の森書道会の教室にてお会い致しましょう。
宗風でした。

ありがとうございました。

ありがとうございました。
  

Posted by 欅の森書道会 at 22:41Comments(0)言葉の解説

2024年01月23日

2024年1月2回目の教室と「耐雪梅花潔」について。






こんにちは、あるいはこんばんは。
信州塩尻市・欅の森書道会です。
本日もWeb担当宗風がお喋りさせて頂きます。
どうぞ、お付き合いの程を願っておきますが…。

何とか週末の雪は雨を伴ってやり過ごした…なんと言う所ですが、
明日からはまた雪の危険があるんだそうで。
どうぞ銘々様、お気をつけ下さいませ。
今年は「雪を忘るる」…と言った年、暖冬真っ盛りなもので、
雪道を歩くにしても運転するにしても、
慣れが無いので危ないと存じますんでね、どうぞ心に留めておいて下さいませ。
どうかご無事で、次回の2月5日にお会いできればと言う所でございます。
その次は2月19日、その先は…と言うと、
これまで未定でしたが、
3月11日、3月25日と定まった様でございます。

2月5日は2月号の競書の締め切り日となります。
3月11日は3月号の締め切り日、
そして3月25日は書象展の作品締め切り日と相成りました。

気楽なところがよろしいんじゃないか…ってンですが、
一生懸命、励んで作品に取り組んで行こうではありませんか…なんと言うところ、
書象会の新年会もまた今週末にございますし、
お楽しみ多い世の中ですので、様々楽しんで参りましょう。

さて。

例によって、
今回も言葉の解説の儀を執り行わせて頂きます。
お正月なので、恭しくめでたく言葉を選んでみましたが、
何のことはない、いつも通りとなっておりまして…。

「耐雪梅花潔」

競書誌「書象」2024年2月号の【基本】課題より。

季節に合う言葉が課題になりましたね~。
この「潔」と言う言葉は、
おそらくは「いさぎよし」ではなく「きよし」と読むと考えます。
Web上で調べてみると「いさぎよし」と書かれているものが複数ありますが、
「清、浄」に通じ、清廉である様を謳っていると思います。
雪に耐え、梅の花がイサギヨイ…正々堂々としている?思い切った感じ?と、
個人的には違和感をもよおします。
雪に耐え、梅の花がキヨイ…清いにはいくつかの意味を含みますが、
清く美しい場合を単に「清い」と表現しますので、
「雪に耐え、梅花潔し」は「きよし」が、より本意に近いのではないか…と考えます。

「いさぎよい」は特に「態度」に使われる言葉。
「澄み切った感じで清々しい」と言う意味もあるので、
違ってはいないですし、それが正しいのかも知れませんけれども、
そんな風に思ったりもする、…諸説あり、自分自身で勉強してみた限り、ですが。

さて、この言葉。
漢詩として他にも言葉、詩句があろう…と言う所なのですが、
もしかすると正にこの字、組み合わせが何かの詩としてある訳ではないやも知れません。
調べてみて、いちばん多く出て来る検索結果としては、
西郷隆盛の詩でした。

妹コトの三男である政直のアメリカ海軍兵学校留学に際し送ったもの、とあり、
「耐雪梅花麗」と一字、異なりますが、「雪に耐え、梅花麗し」、
梅の花の美しさは雪に耐えたから、つまり、
努力があるからこそ花開くと言う応援とも、また「しっかりやって来いよ」と言う、
叱咤激励とも取る事が出来る言葉。

これが含まれる漢詩は以下の通りです。

一貫唯唯諾  
従来鉄石肝  
貧居生傑士  
勲業顕多難 

耐雪梅花麗  
経霜紅葉丹  
如能識天意  
豈敢自謀安  

書き下し文では以下。

一貫す、唯唯の諾
従来、鉄石の肝
貧居、傑士を生じ
勲業、多難に顕わる

雪に耐え、梅花麗しく
霜を経て、楓葉丹(あか)し
如し能く、天意を識らば、
豈(あに)敢て、自から安きを謀らんや

意味としては以下。

納得して決めた事ならばやり通すことだ。
その為には従って鉄の様に硬い心が必要であろう。

英傑は貧しい出から生じるものであり、
栄誉ある所業は多くの困難の先にある。

梅の花は、雪の冷たさ重さに耐えてこそ麗しく咲き、
楓の葉は霜を経て赤く色づく。

これを天意と知る事が出来、理解するならば、
これからの苦難を安々と自ずから離れたりは出来ないだろう。

以上です。
私、宗風なりの解釈ですので正しさと言う点では悪しからず。

この内容を見ても「麗」の部分は綺麗なものと言う表現であるべきで、
「いさぎよし」より「きよし」が良いのでは…?
…と考えるのですが、
もしかすると「いさぎよし」の現代の言葉が「正々堂々」になった形で、
この時代だと…「いとおかし」の様に違う意味だったりするかも?どうでしょうか。

ともあれ。

また一方で禅語の世界に以下の言葉があるそうです。

「耐百雪梅花潔」

百雪に耐え、梅花潔し。
意味は大きく違いませんね。今回の課題に1字加わっているもの。

「梅耐百雪潔」

梅、百雪に耐え潔し。

花の字がなくなり百の字が加わり順番が異なるもの。

意味は同じであり、禅語の根本はずっとずっと古いものですから、
西郷隆盛がこれらを意識しつつ、
送る言葉に含ませたのかも知れません。

色々と調べてみる中で、インターネット上の資料の中には、
小諸市の教育に関わる報告書の様なものの中に、
こうした苦節ある故の褒賞について、「梅花教育」と銘打っている…とも。

これから2月を迎え雪の季節が深まり、その先に春の訪れを待ちますね。
それを目前にしての「耐雪梅花潔」についてお喋りさせて頂きました。

…と言った所で、ちょうどお時間となっております。

それではまた次回。

ありがとうございました。

ありがとうございました。  

Posted by 欅の森書道会 at 19:42Comments(0)教室の予定教室の風景言葉の解説

2024年01月16日

競書誌「書象」2024年2月号、ありました!



取り急ぎ、お知らせです。

競書誌、最新号、届いておりました!  

Posted by 欅の森書道会 at 22:09Comments(0)

2024年01月15日

「書象」2024年2月号について

競書誌、18時30分頃、まだ到着しておりませんでした。
年末年始の関係でしょうか。
取り急ぎ、ご連絡をば。  

Posted by 欅の森書道会 at 19:05Comments(0)
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