2023年08月29日
高青邱「尋胡隠君」を訪ねる。
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こんにちは。
信州塩尻市・欅の森書道会、Web担当宗風です。
何も絵、画像がないのも難だと思い、
今回の主題を書いてはみましたが、
玄山先生もお気に入りの詩だと仰っていましたし、
池口さんも今回揮毫されたりしている訳ですし、
ご興味を持たれたならば、
是非とも、見事な方の書をご覧になって頂きたいです。はい。
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8月21日のこと。
この日、自分がいた時間帯はとても空いていて、
着くと、花岡さんだけおられ。でも添削は終わっていて直ぐにお戻りになられ。
しばらく玄山先生とふたりだけになり、
じっくり見て頂いて、書いて指導して頂いて、すごく嬉しかったのだけれども。
そこに池口さんと湯田坂さんがお見えになられ。
松本の地区展に出される作品なんだと池口さんが書いてお見えになったのが、
この詩でありまして、何とも風情のある詩で、とても良いな、と。
普段の喧騒のない、静かな夏の夕暮れ。
玄山先生が添削するその中で、詩を読む。
何だか、その瞬間が思い出として切り取られ、残っています。
高青邱(こうせいきゅう・高啓)の「尋胡隠君」と言う詩です。
「胡隠君尋ぬ」
胡さんと言うご友人について。
隠君は隠者、世捨て人的な方の敬称だそうです。
胡殿を訪ねる…とでもした方が良いのでしょうか。
そんなタイトル。
渡水復渡水
看花還看花
春風江上路
不覺到君家
水を渡り、また(復)、水を渡り、
花を看、また(還)、花を看る。
春風、江上の路、
覚えず、君が家に到る。
前半2句で、十分に水が豊かになり緑溢れた春を感じます。
その中をウキウキと歩く姿、足取り、喜びが伝わります。
春風の吹く、江上とは川のほとりを言い、その道を行くと、
意識せず、君の家に着いてしまった…と言う。
会うことが楽しみな人のところへ。
色んなシチュエーションが想像できますが、
そこまでは言及されていませんね。
胡さんについても確かな出典は無いそうです。
ともあれ、「楽しそう」と思うことが出来る、
その感情が分かる詩が成り立っていると思いませんか。
…と言ったところ。
本日は、先達てもお伝え致しましたが、
9月の教室の日を再び書きましてお開きとさせて頂きます。
9月11日、25日
10月9日、23日
11月6日、20日
12月4日、18日
1月8日、22日
2月5日、19日
以上、2024年2月まで。
パソコン上ですと、コピペで簡単手間いらず、であります。
それでは以上です。
ありがとうございました。
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2023年08月22日
8月2回目の教室と「江流天地外」、今後の日程について。

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こんにちは。信州塩尻市、欅の森書道会です。
信州では「お盆を過ぎれば暑さが和らぐ」なんて申しますけれど、
どうでしょう、実感ありますか?
雲の形は時折、秋の雲に見えるものも風に流れておりますが、
夏真っ盛り、まだまだ熱中症危険アラートも発令中、
本当にご自愛されながら、日々励んで参りたい所存でありますが。
地区の公民館に車を停め、川のほとりを歩いていると、
もういよいよ土手の向日葵が弱って来ていて、
グンと重たい頭を垂らしていました。
その角度が45度。
うーん、そう言えば、教室に通い始めた頃に、
楷書を上手く書けない自分に樋口玄山先生が教えて下さった書法の中に、
45度きっちりキープして書くんだと、
そんな言葉があったなぁ、と思ったりした写真が、
冒頭の1枚だったりします。
その後、ある程度は身に付いて来ているんじゃないか…と思います。
今日のブログは盛り沢山でお送り致します。
予定などはまた後日、リマインダー的に再度掲載致しますね。
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重要なご連絡から。
9月以降の欅の森書道教室の開講日について、です。
9月11日、25日
10月9日、23日
11月6日、20日
12月4日、18日
1月8日、22日
2月5日、19日
以上、2024年2月まで。
更に先々の展覧会の情報もお伝え致します。
第64回松本市芸術文化祭参加
松本地区書道協会第50回作品展
2023年9月30日(土) 〜 2023年10月9日(月)
※ 2日 休館
第76回長野県書道展覧会、
9月2日の長野地区・もんぜんぷら座B1会場での展示から始まり、
伊那、木曽、諏訪、安曇、佐久、飯田、上田、松本、中野と巡回します。
松本は11月17日から19日、松本市美術館にて。
以上です。
細かな展覧会は色んな所で催されております。
Twitter…じゃないXを始め、Web経由で仕入れた情報がありましたら、
掲載する様に致します。
またご連絡頂いても、ブログにしたためる事も可能です。
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さて、連絡事項だけでもブログは成立するのですが、
やはり文化的な内容も取り込んでおきたいと存じます。
競書誌「書象」2023年9月号の「基本」課題、
「江流天地外」、「江流は天地の外」、
これは王維の詩「漢江臨眺」の中の一句です。
全文はこちら。
漢江臨眺 王維
楚塞三湘接
荊門九派通
江流天地外
山色有無中
郡邑浮前浦
波瀾動遠空
襄陽好風日
留醉與山翁
楚塞は三湘に接し
荊門は九派に通ず
江流は天地の外
山色は有無の中
郡邑、前蒲に浮かび
波瀾、遠空を動かす
襄陽は風日好く
留めて醉ふ、山翁と與に
楚塞、荊門、襄陽は地名になります。
楚塞:中原と楚の境界
三湘:3本の江、大きめの川を意味する言葉。
湘自体も地名を表しますので、楚塞がそれに接すの意
九派:長江のこと。多く分かれて行くことに由来。
荊門:江漢平原西北部
襄陽:町の名前
何となく現代文に置き換えてみますと…
楚塞は三湘に接し、
荊門は九派に通ず、
大河の流れは果て無く天地の外に届き、
山から流れ、果てに広がる様は有象無象、天地の全てを表している様だ。
村々は蒲の穂の先に浮かぶ様に点在し、
波、水面に映る空が風によって揺れ動く。
襄陽は風も陽光も快く、
まるで仙人になったかの様な心持ちを留める。
…こんな形でしょうか。
明確な訳文が見つからなかったので、
言葉を調べながら作ってみました。
豊かな自然、今以上に広大だったろう眼前の世界を詠んでいる…
そんな形でしょうか。
今回の課題の「江流天地外、山色有無中」は、
詩の中でもいちばん大きな所ですよね。
現実に見えるもの以上に大きな存在を感じるところ。
墨がしっかり入る様に作品に取り組んだところ、
「よく墨が入った!」なんて褒めて頂いたので、
競書提出まで、より自然の大きさを表現できる…
…ほどの腕前ではないのですが、
目指すのは、心意気だけは持ってみたりなんかして、
励んでみたいと思います。
以上、ご連絡ごと多数でありました。
今回はここまで。
ありがとうございました。
2023年08月15日
「書象」2023年9月号、届いております!
取り急ぎ、表題の通りです。
15日、16日と天候に注意が必要な心持ちですけれども。
よろしくお願い致します。
15日、16日と天候に注意が必要な心持ちですけれども。
よろしくお願い致します。
Posted by 欅の森書道会 at
10:33
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2023年08月10日
8月第1回の教室について、「静夜思」の解説を。

こんにちは、信州塩尻市、欅の森書道会、Web担当の宗風です。
先達て8月7日、8月第1回目の書道教室が開講されました。
最近は暑いなら暑い、限界を超える暑さの日はそりゃあ良い天気で、
そうでなければ、こう言う天気。
時間帯によってはまた雨に降られたり致しました。
自然の事ですし、どうにもならない部分もありますが、
もうちょっとこう人付き合いを上手にして頂きたい、
雨と晴れとの共存関係は難しいなぁ、なんて所でございますけれども。
県展の出品作品について、締め切りの日でした。
出品する方の意気ある作品、お見事でした。
お疲れさまでした。
また、競書の提出日でもありましたね。
あわせて、お疲れさまでした。
次回の書道教室は8月21日となっております。
15日頃にまた競書が届くと思いますが、
お盆期間中ですので、はたしてどうか。
また確認しましたら、ブログでご連絡致します。
さて。
樋口玄山先生から競書に先んじて次回の条幅課題、
そのお手本を頂戴する事が出来ました。
「低頭思故郷」の隷書となっております。
頭を低れて故郷を思う。
「低」は「たれる」と読みます。
「こうべを垂れる」
この言葉だけですと、私には寂しさしか感じない、
むしろどこか悲しさもある詩の一説に感じてしまいます。
いやいや、さにあらず。
李白の「静夜思」からの出典でありますが、
この詩、全文を読みますと、そして情景を描きますと、
ただ寂しく悲しい詩ではない、
優しさも感じられる風情ある作品と知ることが出来ます。
とても有名な詩ですが、ここで改めて。
牀前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故鄕
「牀」は「床」に同じとのこと。
書き下し文ですと、以下の通り。
牀前、月光を看る
疑うらくは是、地上の霜かと
頭を挙げて、山月を望み
頭を低れて、故郷を思う。
就寝前に月の光に気付き、見る。
月の光に大地は照らされ、
霜が降り立ったように白く輝いていた。
山月を顔を上げて眺め、
顔を下げて故郷を思う。
その故郷への想いには、
1度空を見上げているからこそ、
祈りの様な風情が含まれる様に感じております。
夜はまだ暑い季節ですけれど、
風はどことなく涼しくなって来たかも知れません。
秋の夜長だなんて申しますけれど、
季節を少し先取りした様な課題ですね。
頑張って取り組んでみたいと存じます。
さて、今回はここまで。
暑さへの対応はめいめい様、特段気を付けて行きたいものですね。
また21日、書道教室にてお会い致しましょう。
宗風でした。