2023年07月31日
7月2回目の書道教室報告と競書課題「不自矜故長」について。

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こんにちは、信州塩尻市・欅の森書道会、Web担当宗風です。
お久し振りになってしまいました、すみません。
記録またご報告が遅くなってしまいましたが、
1週間前の7月24日に欅の森書道会、書道教室が開講されました。
次回は8月7日、8月21日となっております。
8月7日は競書提出日です。
7月23日には、県展の添削会の後、
毎夏恒例の樋口玄山先生のご自宅にて岩魚を楽しむ会が催されたとのこと。
盛会であったお話、伺っております。
7月24日は、この時期特有と申しますか、
夕立に降られた日でしたね。塩尻峠の辺りから下って来るのに、
どうにも広丘付近で雨柱が見えるなァ…とは思っていましたが、
ドンピシャに欅の森書道会、その教室の上に雨雲が発達していた様で、
駐車場の数m距離を進むのにもビショビショに濡れると言う…
私達、書道を嗜むものにとっては水分、紙にとって大敵です。
守りながら教室に駆け込んだ…なんて言うところでした。
梅雨も明け、太陽の輝きも過ぎものと呼べるほどで、
暑く命の危険を伴うなどと物騒な報道の毎日ですが、
しっかり体温を冷ましつつ、避暑体制を取りつつ、
何とか頑張って乗り切って行きたいものですね。
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さて、時に。
今月、皆さん取り組んでおられる課題の中、
例によって「基本」に取り上げられている言葉、
解説させて頂きたいと存じます。
今回は「不自矜故長」とあります。
「自ら矜らず、故に長たり」、老子の言葉とのこと。
「自矜(じきょう)」は、自ら自分の優れた点を誇ることであり、
これを「ほこらず」とし、故に「長たり」、
だからこそ、優れている、優位に立つと言った言葉ですね。
「矜」には、自負する、ほこる(訓読み)と言う意味、
また「憐れむ」と言った意味もあるそうです。
この言葉は、「道経・益謙第二十二」にあります。
曲則全、枉則直。窪則盈、敝則新。少則得、多則惑。
是以聖人抱一、爲天下式。不自見、故明。
不自是、故彰。不自伐、故有功。不自矜、故長。
夫唯不爭、故天下莫能與之爭。
古之所謂曲則全者、豈虚言哉。誠全而歸之。
成功する人、その法則。道徳の言葉。
曲がった木の様に役に立たないものならば、生を全うできる。
窪んだものがあれば、そこに物を貯めることが出来る。
例えば服や書物が破れれば、新しいものにするのだろう。
聖人はひとつの信念を持ち、天下の規範を成す。
自ら目立とうとしないので、誰からも明らかに見え、
自らを良しとしないからこそ、誰もが認め、
自らに功があると置かないからこそ、誰もが称え、
自らを誇ろうとしないからこそ、長(ひさ)しく続く。
人と争わないからこそ、争いにならず、
古い言葉にある「曲がった木なら生を全うできる」とは、
虚言ではない。
誠に生を全う出来るものなのだ。
…大きく簡単に訳するとこんな形ではないかと。
「役立たずが生き残る」と言うのは、
一見、世の道理に反しているようで、
でも、しかしながら正しい…
戦争があった時代の教育と照らし合わせると、
「お国の為に命は…」の頃を思えば、
そうですよね。死と言う終着点への出会いを考えると、
どちらが生きながらえたか…と言う事ですよね。
また「出る杭は打たれる」と言いますし、「雉も鳴かずば撃たれまい」です。
何度か読むことで、様々な視点で返してくれる言葉に思います。
「破天荒」の本意は「暴れん坊」などではなく、
「誰も成し得なかったことを成すこと」ですね。
「守破離」と言う言葉がありますが、「温故知新」に通じます。
「破天荒」も「守」がなければ、
それこそただの「暴れん坊」でしかありませんから、
きっとそこには「守」があったことでしょう。
生き方について触れる言葉、
その一節が今月の課題となっておりました。
現代ですと、その中でも主張が大事となっている様に感じます。
群から個と。
上手に生きるべき、その為にはこれを守るべき。
そんな様な言葉、一節と思いました。
では、本日はこんなところで。
それではまた来週、お会いできればと存じます。
以上、宗風でした。
2023年07月22日
書道ワークショップ、無事に終えました。
欅の森の書道会、Web担当の宗風です。
少しブログの更新に間が空いてしまいました。
すみません。
お陰様で、本日、無事に松本市美術館でのワークショップ、御子柴さんと共に役目を果たして来ました。
欅の森書道会の皆さんに提供して頂いた筆と下敷きが無ければ、開催できませんでした。
心から、心から感謝を申し上げたく、こうして書いております。
本当にありがとうございました!
少しブログの更新に間が空いてしまいました。
すみません。
お陰様で、本日、無事に松本市美術館でのワークショップ、御子柴さんと共に役目を果たして来ました。
欅の森書道会の皆さんに提供して頂いた筆と下敷きが無ければ、開催できませんでした。
心から、心から感謝を申し上げたく、こうして書いております。
本当にありがとうございました!
Posted by 欅の森書道会 at
22:37
│Comments(0)
2023年07月15日
2023年07月12日
10日の書道教室のご報告、他連絡、「俊逸鮑参軍」について。

信州塩尻市・欅の森書道会、Web担当の降幡です。
(写真は四柱神社の境内の紫陽花です)
先達て、お寄せ頂きました筆と下敷き(フェルト)について、
お礼を申し上げましたが、
7月10日、欅の森書道会の教室、7月第1回が開講されました。
暑い日、雨上がりもあって水嵩も増しており、
でも夕刻からは少し涼しく、風が入ればまだ盛りにはならないか…
そんな時節になっておりました。
いわゆる後半組、私はこう…県展の添削会も23日にあり、
同日に玄山先生の中山のお宅で暑気払い会もあり、
様々な準備と打ち合わせをされている諸先輩方を拝見致しました。
その中で、また久し振りに伊藤星紅さんも訪れており、
お元気そうなお顔を見、皆で安心するなどの一幕もありました。
また県展の添削会では、順番が早めに回る事もある…
しかし去年は朱墨添削無し、今年は有りなので、
早めにならない?どうだろう…なんてお声も聞こえました。
松本市美術館友の会関連で、皆様より筆を頂戴致しましたが、
9日の日曜日には「夕涼み会」なるイベントもあり、
塩尻で言えば29日は玄蕃祭りがあり、
松本ならば5日に松本ぼんぼんがあり、
学生さんは夏休みの時期に近づき、何かと忙しくなって来る時候、
それを感じられるものでした。
次回、欅の森書道会、7月2回目の教室開講日は、
7月24日となっております。
どうぞお集まりくださいませ。
さて。7月10日に書道教室においでになった方ですと、
玄山先生が黒板に解説を書いて下さっておりましたので、
それを確認されたかと存じます。
「俊逸鮑参軍」、鮑参軍と言う詩人みたいに俊逸だね、の意味。
「春日憶李白」、春日に李白を憶う、杜甫の詩からの出典と言う内容でした。
あと、「参」の「三」は「小」の形を取っている、など。
私、すっかりその当時も忘れておりましたが、
前々回の条幅の課題「江東日暮雲」も、
実は「春日憶李白」の一部であって、
その当時も「鮑なんて珍しい」と思っていましたし、
何なら10日も「どこかで聞いた気がするけれど、鮑なんて珍しい」と、
割と新鮮な気持ちで感じていました。
( https://keyakinomori.naganoblog.jp/e2728405.html )
詩の全体は↑のリンク先、以前のブログ記事にありますので、
更に詩の背景などをお知りになりたい方はご覧頂ければと存じます。
それでは、本日はここまで。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
2023年07月11日
筆の有難さ、心意気への嬉しさ。

こんにちは、信州塩尻市・欅の森書道会、宗風です。
昨日は7月1回目の書道教室開講日。
お出掛けになられた皆様、お疲れ様でした。
総会でお話を上げさせて頂き、
7月22日の松本市美術館友の会での書道ワークショップにつき、
筆、フェルト下敷きを分けて頂きまして、
誠にありがとうございました。
限られた予算の中、書道を体験して頂くための道具が足りず、本当に苦慮しておりました。
玄山先生を始め、欅の森書道会の皆さんのお陰で、当日、筆と墨での体験は確約できるところまで来ました。
本当に本当にありがとうございます!
筆が集まった喜びもまたありますが、
皆さんの心意気に感動しております。
何度も言葉を重ねたくなります。
本当にありがとうございました!
当日までに更に準備をしっかりと調えて、より良いワークショップにしてみせたい!…と思います。
引き続き、どうぞよろしくお願い致します!
2023年07月03日
欅の森書道会「総会」と寒山詩より「昔時為大海」を。

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こんにちは、信州塩尻市・欅の森書道会、Web担当の宗風です。
今回も気楽なところで一生懸命…と言うことで、
お付き合いを願っておきます。
さて。
こうしてブログにてしたためますのに手間取ってしまいましたが、
先日、6月26日に我らが欅の森書道会の総会が行われました。
活動のご報告、来期の活動計画。
また近々では7月23日の県展添削会+暑気払い in 玄山先生宅の予定、お知らせなど。
更に、松本地区書道協会、岩月彩紅さんからのお知らせや、
私、宗風が松本市美術館友の会による7月22日開催のワークショップでのお願いごとをするなど。
本当に、危機感を覚えると申しますか…。
信山先生の常設展がある松本市美術館に、
その市民活動、ワークショップに「書道が無い」段階で、
危機感を覚えてはいたのですが、
いざ、開催してみようと言うと、道具もない状態になっているとは…
想像していたとは言っても「まさか」と言う感覚でして。
是非、信山先生が灯した火を再び興したいです。
最初は数人のワークショップでも、いつかはもう芸術館で開かれるくらいの。
夢は大きく持って企画、詰めて参ります。
どうぞよろしくお願い致します。
総会の後は、塩尻市・龍胆での宴席、出席された皆様、楽しまれましたでしょうか。
私、宗風は翌日に労働組合の団体交渉を控え、また諸事情もあり、
総会の後に、こう、後ろ髪をグイッと掴まれる心持ちで会場を後にしました。
嗚呼。
コロナ禍において控えていた宴席であり、縁席でもありますよね。
和気藹々、良い時間をお過ごしになられていれば何よりです。
次回、書道教室は7月10日となっております。
競書の課題提出日です。
その次は、最終的に24日となっております。
お間違えございませんよう、ご確認の上、お出掛け下さいませ。
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さて、本日はもう1本。
競書の提出日が近づいておりますので、
その前に、何かほんのちょっとでも参考になれば…と、
競書誌「書象」2023年7月号の「基本」課題、
「昔時為大海」の解説を書き添えようと思います。
書法についての解説は玄山先生に添削して頂いておりますので、
あくまで、この詩文の説明を、と言う所です。
「昔時為大海」は寒山詩の55番とあります。
その項の全文を以下に。
原文、書き下し文、意味を私なりに解釈したもの…と言う順で記載しました。
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桃花欲經夏, 風月催不待。
桃花は夏を経るを欲するも、風月は催して待たず。
桃の花は夏も咲き続けたいと思うが、風月はそれを待ってはくれない。
訪覓漢時人, 能無一箇在。
漢の時の人の訪れを覓め(もとめ)、能ち、一箇も在る無し。
漢の有名な方の訪れを待っても、1度も叶った事は無い。
朝朝花遷落, 歳歳人移改。
朝朝、花は遷り落ち、歳歳、人は移り改まる。
毎朝、花は次々と落ち、毎年人は移り変わって行く。
今日揚塵處, 昔時爲大海
今日、塵を揚ぐる処、 昔時、大海と為る。
今日、塵(砂、土埃)を揚げている場所は、昔海だったと言う。
…と言うもの。この最終句が課題になっておりました。
「寒山詩」は、唐時代のの隠者「寒山」の詩を収録した詩集。
正式名称は「寒山子詩集」とのことです。
森鴎外の短編小説「寒山拾得(かんざんじっとく)」も、
この寒山に関わりがあります。
禅宗の僧ではなかったのですが、禅に通じる詩集として認識があるのだとか。
解釈本の作者により、また思想なども含んで違いがありそうです。
寒山詩はどこか寂しさと言うか、諸行無常の表現がありますね。
他の詩にも。
いつまでも同じではない、では、どうするのか?
そうした反面教師の様なものを、どこか心に抱くものと思います。
そうした思いを抱くと、
信山先生のお手本の最終画のカスレ具合にも、
どこか寂しさ、心の置き所がある様にも…どうでしょうか。
添削で最終画を玄山先生に指導して頂いているので、
提出日まで、もう少し良くなるように励んでみたいと思います。
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以上、本日は少し長くなりました。
ここまでと致します。
それではまた次の更新にて。
ありがとうございました。
ありがとうございました。