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こんにちは、あるいはこんばんは。
信州塩尻市、欅の森書道会のウェブ担当、お馴染みの宗風でございます。
本日もいっぱいのお運びさまで、誠にありがとう存じます。
気楽なところで一生懸命,申し上げることとしております。
どうぞ仕舞いまで,ごゆっくりお付き合いを願っておきますが…。
さて。
冬なのに暖かいねぇ、雪が降らないねぇ…などと、
そんな風に言っていた時期もありましたね。
雪は、信州松本平としてはそんなには降っておりませんね。
北陸のほうは、また県内ですと飯山などのほうは、
とんでもないことになっているそうで、
連日報道なんぞされております。
かたや沖縄は20℃を超えておりますしね。自然の力、神秘を感じたりもしながら。
そうそう、このブログを書いております2月10日の夜なんぞは、
久し振りに諏訪湖で御神渡りが起きるやも知れぬ…と、
明るい声が聞こえておりますね。温暖化と言う昨今でありまして、
御神渡りは今後は無理かしら…と思ってしまっておりました。
それがこの寒さで覆される、季節は季節として巡って来る…
…そんなところでございましょうか。
2月10日は2月1回目の欅の森書道会、研修日と相成りました。
日取りの都合で、前回から少し離れての開催でした。
次回は15日付近の新しい書象誌の到着を経て、2月24日となっております。
それまで雪はどうなっているのでしょうか。
何はともあれ、励んで参りましょう。
欅の森書道会では,書象展へ向けての作品制作が始まっておりますね。
樋口玄山先生からお手本をお受け取りになりましたでしょうか。
年に1度の挑戦の場でございます。
ちなみに、書象展への申込については、
それぞれのお宅に届けられた振込用紙などを使って行います。
期限までにお済ませになりますよう、お忘れなく、お願いいたします。
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では、例によって例の如く、言葉の解説に時間を頂戴いたします。
「影徒随我身」ですが「影」は「景」に同じ。
お手本としては「景徒随我身」と書かれています。
また「徒」も、このフォントとは異なり、つくり部の「土」以下に、
省略した表現が為されていますね。「我」もまた形に特徴があります。
お手本を元に、励んで行きたい…ということですが。
この言葉、「影徒随我身」は、
「影、徒らに我が身に随う」と読みますね。
「徒」は「いたずら」、「随」は「したがう」と読みます。
かの有名な詩の一部。
李白の「月下独酌」に、この句はあります。
お酒のラベルにデザインされている…なんて事もありますし、
島根県松江市には銘酒「李白」を醸す「李白酒造」もございます。
そんな「月下独酌」の原文はこちら。
「月下独酌」四首其一
花間一壼酒
独酌無相親
挙杯邀明月
対影成三人
月既不解飲
影徒随我身
暫伴月将影
行楽須及春
我歌月徘徊
我舞影零乱
醒時同交歓
酔後各分散
永結無情遊
相期邈雲漢
以上となります。
続いて、書き下し文だと次のとおり。
月下独酌 四首 其の一
花間,一壷の酒
独り酌んで,相親しむもの無し
杯を挙げて名月を邀(むか)え
影に対して三人と成る
月、既に飲むを解くせず
影、徒(いたず)らに我が身に随(したが)う
暫く月と影とを伴いて
行楽、須(すべか)らく春に及ぶべし
我歌えば、月、徘徊し
我舞えば、影、零乱(れいらん)す
醒むる時、同(とも)に交歓し
酔いて後、各々、分散す
永く無情の遊を結び
相期す、邈(はるか)なる雲漢(うんかん) に
以上、書き下し文でした。
花の咲く中で、酒壺いっぱいの酒を携えている。
一緒に楽しむ者もなく、独り酒を飲む。
盃を挙げて、綺麗な月に呼びかけると、
(月、私と)影で3人で飲むことになった。
月が飲めないことは分かっている。
影は私の動きについて来るだけのことだ。
しばらく月と影と一緒になって、
春を謳歌しようじゃないか。
私が歌えば、月もぐるぐる動くし、
私が舞えば、影もゆらゆらと動く。
酔いが回っていない時は一緒に楽しんだものだが、
酔ってしまうと、それぞれ別れ、元の姿に戻る。
永く何事にもとらわれずに付き合って行こうじゃないか。
次は遥かなる天の川あたりで、また会おう。
…と言った意味合いになるでしょうか。
華やかさがありますが、登場する人物はひとりだけ。
人に見立てた月と影でふたりめ、さんにんめ。
そこにどこか寂しさがある…とは解説文にありますが、
どうでしょう、
気楽さも個人的はある様な気がしています。酒飲みの性と言うか。
お酒は現代でこそ、「夜の作業の邪魔だ」なんて言われたりもします。
若者のアルコール離れは、
飲酒後の生産性効率の減退を招く…って、のたまうンですなぁ。
飲んでしまうと他のことができなくなると言う。
一理ありますが、それもそれで味気ない…なんて思ったりもいたします。
ならば時間を作って楽しめば、区切ればね、
それはそれで良いんじゃないかと思うんですよねぇ。
…お小言はともかくとして。
そんな隷書条幅の課題「景徒随我身」が入る詩仙「李白」の「月下独酌」、
この解説を申し上げまして、本日はここまで。
ちょうどお時間となっております。
それではまた次回に。
ありがとうございました。
ありがとうございました。